思いやり/ふるる
どちらか好きな方
をせよ。と声がした
冬晴れがそこかしこを粉々にしてゆくようだった
寒くて…
とてつもなくクリーン。
澄んでいるので電車の音がよく聞こえた
一キロは離れていて坂もあって
この街はかつて一面の田畑であった
ゆえに地盤が沈下しやすいとの話
容赦なくからみつく木枯し
独りの背中にしばし留まり
その比喩の使い方はそわそわする、と言われた
言葉というものに厳しい人だった
それと対峙するときクリーンかどうか
努めて真剣であれ、と言うのだった
あまりにも礼を欠きすぎているから
ふと洩らすなどもっての他
好きな方を
無理に選ぶ必要はない
言葉どおり
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)