置き場のない置物/
末下りょう
そこにあったことなどないことを忘れそうに満ちる野花
水底にねをはる陽の匂いをそこねることなく永遠の死を生き続ける置物に
なによりもそこに似合う置き場のない静けさとして
ありふれた準備をしながら
このくらいの明るさのなかにあって
どこにも吹かない風にゆれる
野花
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