青き旅/クーヘン
 

いつの日にか、少年は青き旅へと発つ

胸ポッケの小瓶には、父の遺骨の一欠片



彼は歩く

どこまでも自由に、時に苦悩し

知らぬ間に、うっすらと髭の生え

彼は歩く

安全な舗道から、ふと獣道へ入ったり

牛蒡のようだった四肢も、今じゃすっかり

彼は歩く

水を求め、覗き込んだ湖面には

嘗ての父と似た顔が、そこにはあり



いつの日にか、少年は青き旅から戻る

そこに少年の姿は無く、在るは一匹の青年



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