6号線を下って-日立の海で砂を蹴りながら/Giovanni
僕 は
僕 僕 僕 は
季節外れの海浜で
生成色の薄ら湿った砂を
ざんざん と蹴りながら
ただ独り言ちた
午前10時の 日立の海
青白く続く空の果ては
限りなく力ない空虚
ここでは
微かな呟きさえが
泡のように
溶け消えてしまう
いつしか
ひとりしずか に
ひたすら歩いた
僕 は
僕 僕 僕 は
生まれながらの卑怯者
ことばの恐怖と そこに潜む
猛り狂う狂喜とを
ただただ捨てたいだけなのだ
叫べれば
どれほど
楽だろうか
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