やわらかな骨をつつむやわらかくない肉/こたきひろし
この世の中のどぶには何度も突き落とされた
それもこれも
俺が弱い奴だからだ
どぶから這い上がる度に
泥をぬぐう度に
仰いだ空は薄情だったし
ながした泪は
塩からかった
他人はおろか
天も味方はしてくれないって
ことさ
弱いってことは
劣るってことだろ
強いってことは
優れてるってことか
強い者が
自分より弱い者に
牙を向けるのは自然の理だな
なんて納得してしまう俺は
また標的にされてしまうんだ
そんな俺だから
幾ら鍛えても
素手で闘える訳ないさ
自分を護る為には
強力な武器が必要だ
守ってばかりでは
いつかはまたやられるに決まってるから
攻撃できるより強力な武器が必要になるんだよ
ああ
考えるだけで
頭が混乱しだした
これが弱者にありがちな
パターンだ
負け犬の遠吠えみたいなんだけどさ
戻る 編 削 Point(2)