思ひ煩ふな空飛ぶ鳥を/狸亭
六月の空を見上げると
白い雲が流れていく
「思ひ煩ふな
空飛ぶ鳥を見よ
播かず刈らず蔵に収めず」
人にあい人とかたることにつかれ
郊外の家にひっそりとこもり
目をとじると
さびしそうに安堵が
身をよせてくる
梅雨入り宣言があり
やさしい紫陽花が色づいても
天安門の殺戮の記憶は消えない
ゴルバチョフとノテグが話しあい
パレスチナの子供たちが血をながし
地球が次第に温暖化しても
この国では
詩人たちでさえ
高価なシャンデリヤの下に集い
満足気に
はなやかな祭りをくりひろげている
欲望のような山をみたすには
能力のような海が必要である
古典の
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