コーラのちコーヒー、所によりクリームソーダ/末下りょう
観葉植物を真似るクリームソーダが
夕焼けに溶けていく
散々
カフェインに浸れた
町角で
段々
赤い花を咲かせた
砂漠の
あるいは密林の植物がひけらかす
肉厚な葉のように
クリームソーダ色に変色した舌で
食いちぎられた
黄昏から
降りだす夜に 気の抜けた「そうだ」を
窓際のテーブルに溢れさせ
コーラの王冠がそこらじゅうに
ひしゃげてころがる
町角で
たった
二人だった
あらゆる影を
黄金のアロワナのように
いつかの朝へと放流する
真っ赤なチェリーの種と柄と8ミリの吸い殻が
灰皿のなかで
二人の捨て台詞を模倣して
戻る 編 削 Point(5)