料理で俳句?おでん/SDGs
てたような姿をしている。斜めに二等分して串に刺された赤い蒲鉾は、これはもう名状しがたい色になっており、味もまた粗悪なゴムを噛むよう。おでんは晩春まで煮られつづける。その間、店の女主人は一度も味見することはないだろう。おでんは料理ではなく、十円握ってくる子どもたちの駄菓子なのだから。
いい思い出のないおでんだが、京都で学生時代を送ることで、おでんを見直すことになる。先斗町の「山とみ」、北白川の「ん」。ダシが利いている。薄口しょうゆが、素材の色をそのままに、味をしっかり引き出している。ここではおでんはたしかに料理だった。
そんなある日テレビを見ていたら、小田実と開高健がおでんを食いなが
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