ひとところにわたしのための愛をあつめる/平井容子
1.蜂蜜
海のむこうの国から
はちみつを買うきみに
くたばれと思っても
しようがないね
トースト
光
冷めちゃって、
可燃ゴミにて
代謝する
えいえんに腐らない日々
3.パン
くだらない
ベージュのストッキング
なだらかなひざよりうえの
あたたかい宇宙について
答えを聞かせてほしかった
冷蔵庫のなかの
乾いたバターみたいに
ときおり、必要とされると
なんのために膨れてみせたのか
わからなくなるのだった
7.24h
あるかないかでいうと
丸くて
遅いか遅くないかでいうと
痒かった
無痛分娩みたいな催事場を出て
右手、
わたしはそこにいます
いつも手にとるものだけ
無脂肪牛乳
豆乳のヨーグルト
ふぞろいりんご
アーモンドとピスタチオ
いまこうして
仕事帰りの顔で
立っていることも
むつかしいような気がして
ひとところに
わたしのための愛をあつめる
こうこうと
わたしのために起きている場所で
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