詩の日めくり 二〇一五年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
嫌を損ねてしまうか、自分から離れてしまうか、わからないからかもしれない。もしもどんなにひどいことを言ったり、したりしても、ひとが機嫌を損ねたり、自分から離れたりすることがないのだとしたら、ひとは、他人に気づかうことをしなくなるだろう。(2014年5月20日のメモ)

 あなたは渇いている。あなたは頭の先からつま先まで渇ききっている。あなたの指が水に濡れたとしたら、その指の皮膚の表面から、ただちに水を吸収してしまうだろう。あなたは渇いている。あなたの指が本のページに触れると、本のページからたちまち水分がなくなってしまう。あなたの指が本のページのうえをすべると、その摩擦熱で、本のページが渇ききって
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