詩の日めくり 二〇一五年四月一日─三十一日/田中宏輔
 
二〇一五年四月一日 「少年はハーモニカの音が好きだと言った。」

 これは、『ゲイ・ポエムズ』に収録した『陽の埋葬』の一つに書いた少年の言葉だった。ぼくがまだ20代だったころの話だ。なんで思い出したんだろう。その少年のことで書いていないことがあったからかもしれない。たしかにあった。瞬間のなかにこそ、永遠はあるのだ。でも、まあ、ぼくが54才になったように、その少年も40才まえか、40才ころか、40才をこえたおっちゃんになってるんだろう。きっと、かわいいおっちゃんになってるんだろうけれど。そうだ。ぼくが好きになった子は、みんな、かわいいおっちゃんになってる、笑。下鴨にあったぼくのワンルーム・マンシ
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