渚のリヴァイアサン/紀ノ川つかさ
 
の場所には
食料はほとんどなかった
魚も木も草も木の実も
食べられるものがぜんぜんない
ここから移動しなければ
しかし険しい道がある
危険な道もたくさんだ
君を運ぶことはできない


 僕達は考えた
 もし僕が君だったらと考えた
 このままここから動けないまま
 自分と共に全員が飢えて苦しみ
 やがて死を迎えるのか
 それはきっときっと
 君自身も
 君自身も
 君自身も
 望まないであろうと

見ろよ輝く海を
青く澄んだ空を
次の大波が来たら
サーフボードに乗って
君は天国へ行くのさ
実際サーフボードなんかないけれど
ここに一本の注射がある
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(0)