渚のリヴァイアサン/紀ノ川つかさ
の場所には
食料はほとんどなかった
魚も木も草も木の実も
食べられるものがぜんぜんない
ここから移動しなければ
しかし険しい道がある
危険な道もたくさんだ
君を運ぶことはできない
僕達は考えた
もし僕が君だったらと考えた
このままここから動けないまま
自分と共に全員が飢えて苦しみ
やがて死を迎えるのか
それはきっときっと
君自身も
君自身も
君自身も
望まないであろうと
見ろよ輝く海を
青く澄んだ空を
次の大波が来たら
サーフボードに乗って
君は天国へ行くのさ
実際サーフボードなんかないけれど
ここに一本の注射がある
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