うすぐらく、ふかい部屋/ピッピ
 
祭だ。消すと、それが終わる。光は、ぼくの目の前で、あるいは壁に反射して、死んでしまう。境界線に、耐えられない。きっとそれはぼくだって、ここに浮遊しているすべてのものがそうで、それを知りたくないから、テレビを消す。毎日のことだ。

目が冴えるのは、病気だ。ぼくは考える。明日(ぼくはぼくが次に起きてからの時間のことを、明日という)は何をしようか、何があったか。考えてもまっしろだ。明日にはなにもない。同じように誰もいない研究者の部屋がとなりにあって、駐車場があって、でもそれは、ぼくの明日に何もしない。

身体を起こす。冷蔵庫からコークを取り出して、冷凍庫から製氷皿を取り出して、かきまぜて、それを飲む。コークはどうぶつの飲み物だ。これくらいが、ちょうどいい。発光をやめないカーテンが、研究者の部屋のライトじゃない、別のものを透かす。エンジン音、鳥の声。朝はうるさい。そして、ふしぎだ。誰もがみんな、そう思っている。
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