うすぐらく、ふかい部屋/ピッピ
 
ぼくの部屋の電気を消すと、カーテンが発光して、それだけになる。隣のマンションの窓がすぐそこにある。昼間、すこしだけ部屋を覗いたら、そこには書類や分厚い本が重ねて置いてあり、おそらく研究者か、その類だと思った。そういう人たちが、この近辺には多い気がする。だから、夜はしずかだ。

誰も、夜をふしぎなものと思わない。祭もない。駐車場は、なぜか昼よりも車が減っている。ぼくのように、行き場所もなく、へんにきらびやかな高速を走りたいだけなのかもしれない。今、宇宙から写真を撮ったら(なぜそんなことをするのかというと、こんな街はいらないと思うから)、この街は映らないだろう。

テレビの向こうは、いつも祭だ
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