火炎/平井容子
しゃくりあげる2月
スカートはフレアして
びどうだにせず濡れる校庭
友引のある日
メラニズムを引き起こす電車にのって
わたしたち
ちぎれてしまう
耳たぶだけになったら
ね
という
甘えばかりの声
にぎると指のあいだから
雨の日のパンみたいに漏れていった
きみが悪いね
ときどき
苦すぎてなにも聞こえない
そのとき
大気圏のむこうをひた隠しにする
へその下にある狂喜が
ちらちらと吹雪く
ふがいないおまえはいま
わたしの弱さ痙攣(ひきつけ)て
あのタービンへ帰り
ふくれすぎたわたしはまだ
生み帰すことを
巧妙によけて飛ぶ
苦いのは
消すことのできない
上気する土のうえを、ぬらぬらと這う炎
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