火炎/平井容子
 
しゃくりあげる2月
スカートはフレアして
びどうだにせず濡れる校庭
友引のある日
メラニズムを引き起こす電車にのって
わたしたち
ちぎれてしまう

耳たぶだけになったら

という
甘えばかりの声
にぎると指のあいだから
雨の日のパンみたいに漏れていった

きみが悪いね
ときどき
苦すぎてなにも聞こえない
そのとき
大気圏のむこうをひた隠しにする
へその下にある狂喜が
ちらちらと吹雪く



ふがいないおまえはいま
わたしの弱さ痙攣(ひきつけ)て
あのタービンへ帰り

ふくれすぎたわたしはまだ
生み帰すことを
巧妙によけて飛ぶ

苦いのは
消すことのできない
上気する土のうえを、ぬらぬらと這う炎

戻る   Point(4)