どうせなら酒色に溺れて/こたきひろし
 
どうせなら酒色に溺れて、あげくの果てに人生を棒に振ってみたかったな
そんなすくわれようのない生き方が痺れるくらいにかっこよく思えたからさ
その方が文学を志す者の一人としていい肥やしになるんじゃないかなんてとんでもない発想さえ持ってしまったんだからさ まったくどうかしてるよ

なのに飲料用アルコールは体質に合わなかったし 女に至っては箸にも棒にもかからなかった
我ながら笑わせてくれるぜ
何よりかにより 文学で 未来を切りひらけるくらいの文才なんてなかったんだからさ
どうにもこうにもならなかった訳よ
有名人の仲間入りなんて出来る筈ないし 後世に残る作家さんになれるような才能なんてかけら
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