実感は理性的じゃない/ホロウ・シカエルボク
しまっていたけれど
夜を埋め尽くす材料がなにもなかった
冷たさが空間を占拠しているようで
なにかしら
スマートな抗いをしたかった
小声で愚痴るみたいな
みっともない真似じゃなくて
あの、昨日のさ、と
お前が突然話し出す
あの歌はきっと
自殺そのものの歌なんだよ、と
俺は歌詞を思い返して
なるほど、そうかもしれないな、と思う
曲を探したけれど見つからなくて
スマートフォンで偽物の音楽を流した
不思議なほど睡魔がなかったけれど
一応ベッドに寝転んだ
とりとめもないことを話していると
急にお前は黙り込む
どうしたんだ、と問いかけてみると
いや、どう
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