真っ白な模写/
宮木理人
今日の予定だとか
そういうことよりもずっと前に
今、ということが
どういうことだがわからない
それだからいつも
前の一行をかっぱらってしまって
髪を切ることも忘れて
町へ出ていくのだ
商店街には床屋はなく
八百屋もなく
なにもなく
死角ではいつも
燃えている兎がジャンプする
カバンのなかの大事なメモは
もうすでに大事になんかあつかわれていない
そんなことがなんども
なんどもあったわけでしょう
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