遺失物/飯沼ふるい
 
を求められたときの気持ちだけが
陰に浮かんで
あ、あいつの死骸だ
って、哀しみや憎しみたちから指を差されたい
そして数秒考えてから
「そうだね!」
って明るく答えてしまった俺の代わりに
この世界に詩の無言が産まれればいい
言いたかったこと
言えなかったこと
なんて
そんなもんだろう
永遠なんて嘘だから
だからみんな死んでいく
いのちを忘れて死んでいく
だからなんの話だっけ
今どの辺まで来てるんだっけ
肝心のコーヒーまで取り忘れて
30年もどこをほっつき歩ってんだか
俺も溶けていけてるならいいのに
新しい指先まで探さなきゃならん
それが生きるということなんですか
あぁ、そうでした
やっぱりごめんね
進んで死のうとは思えないよね
いい加減な言葉ばかり失くしてないで
マシな明日を拾うまで
ちょっと待ってて
こんないい話だったっけ
釣り銭の話じゃなかったっけ
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