詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
いなかった
ポストは
彼女に似ていなかった
彼女に似ていないばかりではなく
彼女の妹にも似ていなかった
しかも
4日前に死んだ彼女の祖母にも似ていなかったし
いま彼女に追いつこうとして
スカートも履かずに玄関を走り出てきた
彼女の母親にもまったく似ていなかった
もしかしたら
スカートを履くのを忘れてなければ
少しは似ていたのかもしれないのだけれど
それはだれにもわからないことだった
彼女の母親は
けっしてスカートを履かない植木鉢だったからである
植木鉢は
元来スカートを履かないものだからである
母親の剥き出しの下半身が
ポストのボディに色を添えた
彼女はポス
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