書くことを恐れてはいけないと誰かが言った/ふるる
重宝されたし特別扱いもあったが
Aさんほどではないようだった
知れば知るほどAさんは遠くなってゆく
私の知り合いAさんはもうどこにもおらず
ただ無人の駅に冷たい風が吹いては荒れ
荒れては吹き
仕事に行きたいのだが
だんだんそれもできなくなっ
ていった
参考人であることが唯一の望みとなり
自己紹介もそうなったし
それで好ましいのだと言われた
Aさんは影となりしみとなり
どこまでもついてきては私の邪魔をしたいようだった
Aさんとはただの知り合いだけども
幸せを感じてはいけない気がする
とAさんはふともらし
その言葉の意味をいつも考えている
そういうの
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