書くことを恐れてはいけないと誰かが言った/ふるる
私はある事件の参考人だった
様々な人がありとあらゆることを聞き
黄色い疑いの目で私を見るのだった
私は何も見ていないし知らないのに
そんなはずはないと言うのだった
都合のいい事を言えたら良かったが
私はほとんど食事をしない
その事だけでも充分におかしいのだった
叶えなければならない望みがいくつかあり
それは忘れてはならない
電車は定刻どおりには来なかった、
私はそれに乗らなかった
終わらせなければならい仕事があり
漆黒の検察官は厳しく責め立てるのだ
真実を述べよと
真実はかなり前から高額商品で
庶民の手には届かない
諦めてもらいたいのだが
参考人とし
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