母が壊れてしまったあの日から/
 

しかし、周りに私や姉しかいない時に母がこぼす愚痴や怒りの言葉は、呪いの様に私の頭の中に刻み込まれていった。



「全て私が悪かった。全部嘘だった。」

その言葉は、母にとっては鬱状態の混乱から生じた気の迷いのようなものだったのかもしれない。
何かショックを受けて精神的に不安定になった人が、全てを自分のせいにして抱え込み、負の連鎖に陥ることはそう珍しいことでもないだろう。

しかし、当時の私にとってそれは衝撃的な出来事だった。
大げさに思われるかもしれないが、自分の中の価値観が根本から崩れていくのを感じた。
私は母の目線から見た世界しか知らずに生きてきたのではないか?私
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