詩の日めくり 二〇一四年十一月一日─三十一日/田中宏輔
 
のか説明していなかった。ふだんのメモや文章は、すべて横書きにしているのだが、このときのメモにはもう余白がほとんどなく、メモ用紙の下から引き出し線をちょこっと上に書いて、そのあと、メモ用紙の右の残された少ない余白に、それは縦2cm、横5mmほどのものだったのだが、そこに「縦書き」で変更メモを書いたのだった。それが、本のページに縦にペンの走った跡が残される理由だったのである。ちなみにその少ない余白に書いたぼくの言葉は、「別の現実の」であった。ここだけ赤色のインクである。なぜなら、まえの言葉「ある事柄の」のうえを赤線を引いて書いたものだからである。それまでのメモは、そのメモ用紙に関しては、黒インクだけで
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