おそらくはそれすらも平凡な日々の欠片/あおば
 

すいすいと走り
直ぐに帰れるのだと
思っていた

エンスト
6回で
殆ど回らなくなり
腕も足もくたくたになり
痛くなり
諦めかけたその時に
工具袋の片隅に
懐中電灯に照らされて
私が代わりますとは言わないで
私の仕事の時間帯ではありませんと
寝言を言って
予備の点火プラグが眠っている
この野郎!様
お願いしますと言いながらのプラグ交換

15分後
休日の
のんびりとした朝刊を拡げ
明るくなったなと思いながら
この夜の光の中のことは
何が本当のイベントで
何が日々の欠片であるのか
考えているのです。





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初出 poenique 即興ゴルコンダ  2003/10月


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