詩の日めくり 二〇一四年十月一日─三十一日/田中宏輔
 
ったのだけれど
ネクラーソフの詩集の
表紙のなかにいた女性は無事で
ぼくの腕のなかに
へなへな〜
と、もたれかかってきたのであった。
彼女は
たぶん、ただの百姓娘なのだろうけれど
とても美しい女性であった。
可憐と言ってもよかった。
その手はゴツゴツしてるみたいだけどね。
そして
その目は
人間は生きることの厳しさに耐えなければならない
ということを身をもって知っている者だけが持つことのできる
生命の輝きを放っていた。
ブタは彼女を胸に抱き
階段を下りて
一階で勘定をすますと
全ゴムチューブの
ノーパンクの
重たい自
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