掘る/彼等/大山猫
白昼の深い穴を彼等は掘る
彼等のものである棒で
彼等のものでない皿で
大地の中で生き延びるため
横臥して祭祀を待つために
一つの表情を埋葬する穴を彼等は掘る
流星を厭いつつも上官には従い
彼等である魚を食らい
彼等でない破片に覆われ
降雨から逃れる穴を彼等は掘る
彼等は時には腕がなく
或いは又脚がなく
又ともすると頭がない
実に彼等は頭を刈り取られつつ掘る
実に彼等は伝聞を切り刻みつつ掘る
鳥類への道標を建てるためでなく
高い塔の命令を埋葬するため
夜の炎上する穴を彼等は掘る
人でもなく石でもない彼等
自ら名前を塗り潰された彼等
冷たい肉片を投棄する穴を彼等は掘る
寄る辺なき彼等の嘔吐
粘ついた太陽の幻想に苛まれ
糜爛の時刻に彼等は穴を掘る
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