冬への餞別/大山猫
数字が現れてその清潔なものを刈り取ってゆく
砂の中に消える
名を呼べ
それらを巡る降雨
肉は全てINRI
万物は氷の定規
乾燥し眠りにつく
バスは何処まで行く?
手袋に呪われた男
全てを黒い手帳に流し込む
高い塔
慰められた秘儀を囀る
誰もが魚に食われる
さあ頭を埋めよ
液体は復活
足を濡らす
大気は破れて無数の鰊が溢れ出し
めいめいが汚辱を叫ぶ
五つのパンも石となる
避難しろ!
水は過去のもの
白骨と共に眠る
男は女で更に病気
口から鰊の仔を産み
遠い荒野に雪を降らせ
枯れた土を赤く染める
しかし何も生えぬ
昆虫同士が笑い合い
辞書の内部で干からびる
頁の階段を登るとそこは白い死
誰も神になりたいなどとは思わない
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