人が待つもの 3/チャオ
僕は闇に隠された闇を見たことがある。それは、愛知県と静岡県をまたぐ小高い山の頂上だった。真っ暗闇の夜の中に、さらに真っ暗な夜を見たのだ。それはものすごく真っ暗で、僕は絶望に近い感情を持った。
でも、僕はその絶望に近い感情の中で、ひとつだけ思ったことがある。君が誰かを思うときの感情についての何かだ。
優しさの深遠について、僕はいくつもの言葉を投げかけるだろうが、君はただ首を横に振るはずだ。「僕はやさしくなんかない」それで答えははっきりする。
君が本心からそう思えば思うほど、君はその対岸へ思いをはせるのだ。誰かが、何とか幸せになればいい。君自身では見つけ出すことの出来ない、君の深い優しさはそ
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