マーク/どん底
 
重く重くぶれた日の或るひかり
カーテンのない窓辺には
マークと名づけた鉄線の花が一鉢
そのひかりを啄ばんでいる

今日お母さんの夢をみた
あたしを掬いあげてほほ笑んでいた
ああ、あたしは腐った水だったんだ
(あたしとの視線はひとつもあわなかったけれど)
でもお母さんはほほ笑んでいた
今日お父さんの幻をみた
あたしを吸いあげてほほ笑んでいた
ああ、あたしは腐った空気だったんだ
(あたしとの会話はひとつもなかったけれど)
でもお父さんはほほ笑んでいた

今日あたしは
あたしという現実は
ああ、たしかに腐っている
お母さんは背中しか見せないけれど
ああ、たしかに水
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