秋の心/風の化身
 
音のない祭りのような
秋の懐に手を伸ばすと

秋は
私に泣けという
笑えという

成熟した色香を肴にして
酔えという
踊れという

秋は
物詫びた儚さを詠う
孤独を背負った
寡黙な詩人

冷たい風に
諭すように
散り際の美学について
切々と語り始める

秋の心
何時しか
私となりて
深く悲しく色付いて行く


戻る   Point(2)