フェルナンドへ/一般詩人-
 
なにか大仰なことを話すつもりはなくて
ただあなたとなら友達になれるかなと思っただけで

あなたが話してくれたことは本当だ
ぼくの周りにはドーナツ型のカラーパレットみたいなものがあって
生きるにあたってぼくはハエトリグモみたいにぴょんぴょんと飛び跳ねながら
日々そのうちのいずれかの色を選んでいる

前向きに生きたいときは正面にある赤いパレットに乗るし
人と仲良くなりたいときは斜め後ろにある緑色のパレットに乗る
でもあなたは見抜いている
自分というものはそのドーナツの輪の真ん中の空隙だということを

ぼくの色がカメレオンみたいに変わることにみんなが困惑している
ぼくも困惑していた
でもあなたはぼくが誰でもないと
秋晴れみたいに涼しい顔で伝えてくれた

あなたは必要だからそこにいた
誰でもない誰かとして
ぼくもそうだ
それではまた
戻る   Point(6)