真宵蛾/あらい
記憶のしじまを游ぐ 尾ひれを縫い付けた
ただ綺麗な物語も いつかの私に見えてくる
瀕死の枕詞を据え付け 暗黙の真綿を生皮に詰めて
うたを囁く体の休符
永いようで短い反抗期は 今宵いづこへと私を導くのか
浅い息とラクのリズムに跨り ただ思いを掃き潰すも波紋のみ
すり減った踵も鳴らず、くらいよるが実に燦燦と外灯と諭す
ふかいふかい海への思慕
元カノのよう孤独を包んでくれる易しいひとえ
今更に傷を負ってあかい未知を引いておくことが
そよぎつかれて ねむれぬもりの、刺し絞めす静寂に
いつか追い付くであろう幼心に少しは
刻まれることを願い、がままに疎む
ゆめのまた夢の彼
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