栞/
白島真
許されるならば
喜怒哀楽の頁にはさみこんだ
しおりをほどき
薔薇のトゲのように
愛は血まみれの行為であったと
旅立つひとに告げたい
愛は規範をもたない
むくんだ背すじに頬をあてて
はるかな心臓の音を聴いていた
あの日、たしかに
脈動する心の聲を聴いたのだ
街から歌声があふれる
~きみを守りたい~~♪
だが、どうしたら?
翳りゆくものと
ともに在ること
在りつづけること
喜楽の頁のみをとりだし
千年の年月をかけて
あかるい花びらの
しおりをはさみこむ
戻る
編
削
Point
(18)