はるまち/愛
業務員用入り口
を
とおりぬける
警備員さんの
笑顔はおだやか
かくされたとげがわたしをさすこともない
せいかつのいちぶを
そっとかすめて
ゆるやかにながれるのがきまり
おしとどめてはいけない
おしすすめてもいけない
つつまれたとげは
ときおり
そのまくをとおして
だれかれをかすめようとするけれど
見えないふり
しずかな、
午睡
どんな確証にもなりえない退屈
いつまでもしずんでいたいのが
わたしたちの
ほんとう
業務員用出口
を
とおりぬけて
ただのわたしを
いいきかせる
はらはらこぼれる
花と
いつまでもはるをまっていた
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