宇宙の切れ端/相沢才永
宇宙の切れ端にメモがある
さまざまな筆圧で記された
瘡蓋のような言葉が無数に揺らめいている
宇宙の切れ端は君の真ん中にある
それに気づくとどういうわけか俺は眠くなり
君の真ん中で赤子のように寝息を立てた
「悲しみを愛してよ」という
青息吐息を夢の中で聞いていた
宇宙の切れ端にメモはある
まざまざしい筆意で記された
諦めのような祈りが無残に煌めいている
宇宙の切れ端が君の真ん中にある
それを認める前にどうにも時間はなくなり
君の真ん中で尤もらしく溜息を吐いた
「悦びを愛してよ」という
青息吐息を夢中で掻き消していた
宇宙の切れ端で音は鳴る
それは筆圧のオルゴール
俺にはその意味がわからない
それなのに心地よく
それが君を傷つける
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