ここは家ではない(らいこう28)/れつら
父母の割れた声が響いている
ここは家ではない
扉を閉め、鍵をかけ
空気を隔てても、まだ壁が振動している
ここは家ではない
布団を被り、耳栓を押し込み
脳の奥にツンと一本の線が走る
ここは家ではない
その一本の線はやがて、点に収縮し
まるまった態勢から
身を捩り進む
壁は肉でできている
ここは家ではない
肉の襞をかき分け進むと、
最後は無理矢理引っ張り出される
やたら眩しく
血だらけの手袋で掴まれて気持ちが悪い
ここは家ではない
全身が常に外気に触れている
そのおどろきに声をあげると
飯を口に突っ込まれる
同時に糞が出る
服を着替えさせ
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