厭離穢土、欣求浄土/飯沼ふるい
 
午前0時過ぎに(表現の誤解にもとづ
いて、近所の土手を(地滑りしていく
永遠を這うように、散歩している。鉄
塔の灯りが点滅しているのを眺めなが
ら「あれは飛行機のためにあるという
のは建前で、ほんとうは宇宙人と交信
するためにある」と、小学生も騙せな
いような(記述の憂き目に遭う、しょ
うもないホラを呟く。昨日食べた焼き
そばのせいか、鉄工所が燃えているせ
いか。土手を下ってすぐの鉄塔の足元
らへん、人の背丈ほどの(生き死には
語られ続け、薄い塀に囲まれた、小さ
な(骸になるのを許されるのは、鉄工
所の開口部という開口部から炎が盛ん
に噴いている。

ウソとホラの
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