ハリー/もちはる
 
ハリーは
ゴールデン・レトリバー
僕に寄り添うように歩き
大きな身を揺らして
逆らうこともなく
鼻を鳴らすこともない

朝の河原は
鎖につながれた仲間が
あちこちからやって来る
自分に似た子を
息子とは知らないまま
尾を振り付いて行く

自分の年も
人間のわがままも
わからないまま
木陰に寝そべって
昨日を忘れ
明日を気にせず
今日を生きている

嘘のない澄んだ瞳は
あれこれ心配する僕を
不思議そうに映している

老いた友に
いつしか僕は
寄り添って歩いている
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