サピエンス/桂
逃げるように追う
生と死が紙一重で競う
ライオンが腹を満たした後
バッファローの白骨が赤土の上に横たわる
お前の第三の目はそれを焼きつけ
命が永遠に巡る清流を捉える
魔が差して 両目を開くと
それは消え
高層ビルが立ち並ぶ
いつものコンクリートジャングルが眼前に広がっていた
お前の魂は戸惑い
激しく揺さぶられる
ライオンがバッファローを襲う代わりに
ここでは車輪のついた鉄の塊がホモサピエンスを一匹襲っていた
通勤に使っている環状線でまた人身事故が起こったらしい
「どうせ死ぬなら ライオンの糧になればよかったのに」
お前はプラットフォー
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