Terminal Frost/ホロウ・シカエルボク
その月三度目の土曜、部屋の南側にある薄っぺらい窓の下の壁に、血で書かれた詩があるのを見つけた、そんなものを書いた記憶はなかった、けれどそれは、自分自身が書いたとしか思えないものだった、袖をまくり、腕に見覚えのない傷がないかどうか探してみたけれど、どちらの腕にも傷ひとつついてはいなかった、もしも傷がどこかにあるとしたら、その血で書くのに便利な左腕だろうと思ったのだけれど―それ以上気にしないことにしようかと思ったが、血で書かれているという事実は多少不愉快だった、すべての謎が明らかになることはたぶんないのだろうけれど、せめてその血がどこから出たものなのかは突き止めておきたかった、着ているものを全部脱
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)