8月15日/風の化身
 
何て暑い
茹だるように暑い
今年の暑さは尋常でない

大袈裟ではなく
日なたに出るのは
自殺行為以外の何ものでもない

目を真っ赤にして
血走った太陽の異常さには
鬼気迫るものが有る

ぎらぎらと
刺すように照り付ける
太陽の下

滴り落ちる汗を拭うと
ふと
蘇る記憶が有る

遠い日を見つめて
「あの日もとても暑い日だったよ」と
言葉を振り絞った古老の後ろ姿

忘れてはいけない涙の記憶
日本中が絶望と悲しみに包まれた
暑い日

時が止まってしまった日本の夏

炎天の空に隠された
消える事のない
哀しい歴史

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