風船/桂
長い年月で溜まった 色んな物のせいで最近は飛べなくなった
脳と言う名の袋に貯めこんだ経験は宝石のように貴重で同時に重い
どこか別の場所に移動しようとする時
その重みの分 僕のケツは重くなり現状から離れられなくなる
最近は無意味に空を見上げる日が増えた気がする
時折自分より若い風船が太陽を横切るのを目にする
それを見送りながら彼らは一体どこまで飛んでいくのかと想像する
彼らもいつかは自分のように若い頃抱いた期待が萎んで
やがては飛べなくなってしまうのだろうか?
それともそんな僕の憂いをよそに
風に乗りそのまま飛び続けるのだろうか?
そのどちらにせよ 今の僕にとっては酷なのかも
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