閉ざされているような/フユナ
くすんでいく歩道橋
という思い出
(数学のノート
緑の柄の鉛筆
くすんだ赤い鞄
とりあえずの短い靴下
アキレス腱)
閉ざされているような
そうでないようなこの闇
川の流れは順調です
よどみはしてもまっすぐで
これ以上など望むべくもない
その先に家があります
あなたの家です
あなたの灯がついているので
足下の
春の花を摘み上げます
黄色、
川の流れは黙々と
海まで続いているので
私としても光が必要でした
何が言いたいの、と聞いてください
桜が咲くんです ここにまた
東京より、半月も遅く
それをあなたに伝えたいのです
そしてまた
何が言いたいの、と聞いてください
そしてまた
何が言いたいの、と。
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