失点/ホロウ・シカエルボク
 

路上には浮かれた連中が捨てていく安易な欲望の欠片だけが残されている、どこかのビルの三階か、四階あたりにあるスナックの開けっ放しの窓から聞くに堪えない歌声が垂れ流されている、腐敗してドロドロになった魚を食わされているような気分、人通りの多い道に面したベンチとトイレと木々だけの公園の片隅で、一組の男女がペッティングに興じている、胸を張れるような関係ではないのかもしれない、でなきゃこんなところで盛ることなんて出来やしないだろう、客待ちのタクシーが祭りの山車のようにライトを連ねる週末、そこら中ででかい声が聞こえる、女の甲高い声と、男の耳障りな濁声、そのどいつもが同じ話をしている、すなわち、無意味な―ヘ
[次のページ]
戻る   Point(2)