事実無根の、幸福でした。/秋葉竹
逃げたのはおそらく一番人生で大切な鳥、夢が横切る
これ以上吐き続ければ笑顔さえ失くす気がするじぶんへの嘘
黄昏に卑屈にならぬよう歩く知る人もなき異国の街並み
サヨナラを言われた暗い隧道で、哀しい笑顔がそれでも綺麗で
告白もできず親しい友として握手し別れた小雪ふる駅
「来年は妻と別れる」イミテーションゴールドみたいな嘘を吐かれる
もう君に出逢えただけがラッキーと思うしかない、悲しみの果て
黒板に大きく書かれた相合傘、事実無根の幸福でした。
戻る 編 削 Point(4)