乱反射する生の所在地/ホロウ・シカエルボク
言語は解体され、意識の破片となって、冷たい寝床で検死医を待っている、風が鳴くような音は、体内に残留した空気が逃げ場所を探す音、死後硬直のトーンは灰色、アルミニウムのような冷たさだけがそこにある、空調によって冷え過ぎた部屋が鳴らす音が葬送曲を奏でているみたいにけたたましい、皮膚の下のラジオステーション、枯れ落ちる血管を受信し続けている、刻み付けられることだけがすべてだった、無自覚な存在の明確な記録、可視化出来るものだけが真実なんて愚鈍にもほどがある、本当の意味で生きるには内側の記憶が要る、ひとつの元素だけで構成された物質にはそれ以上を語ることが出来ない、異なるふたつの要素を同時に語れないのは破綻
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