L.S.D/れつら
 
この部屋にも窓はある
背丈より少し高い壁にひとつ
開けるとカラカラと風
視界の遥か上を通過する
気持ちいいでしょ と声が聞こえ
ると 口、
涎が落ち、水脈になり、
萎れた花に
手が伸び、それを抜き
捨て
る手を、呼び
止め     ない
(必死に訴えるほどのことでもない)
ただ 湿度は上がり続け
呼気と吸気の間に
初夏と梅雨が入れ替わり
目玉を動かす
さっきいたものが今は居ない
恍惚と残像が席替えをし
さっきしたいと思っていた尿が
今はもうどうしようもない
花瓶の水は排水口に
眼球を裏返すことができないように
僕をあなたから見つめることができない

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