世界中のさよならの鐘をふたりで/ホロウ・シカエルボク
フォー・ビートが沈み込んでいく
目録のない夜の隙間
非常階段の泣声
男か女か分からない
カルヴァンクラインの残骸
浴室に注射針
充血した瞳が
最期の瞬間に見たものは
あなたは間接照明のように
世界を偽装する
わたしは
穏やかな暗闇を気にして
ずっとマグライトを手元に置いている
細やかな嘘が歴史になるのなら
わたしたちは混じり気のない水晶になれるでしょう
雨がどこからか土を連れてきた舗装道路で
スクーターがスリップする
ガーベラかなにかのイラストのついた
ジェットメットの女の子は
短い生涯をずぶ濡れで終えた
取りたくない電話の
コール音は
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