海を見に行く日/大覚アキラ
 
約束のすべてに
火を放って
いま

ゼロに向かって
光の速さで遡っていく
裏切り者を乗せた
クリーム色の機械が
淫らな静謐の中
波ひとつ立てず
貫くように音もなく
飛ぶ

やがて
海が見えるだろう

潮の匂い
遠い記憶の中の
夏の日の水色
よみがえる
あの波音
まどろみの午後

そうさ

たとえば
世界中の海が
目隠しされた鳩たちの涙で
できているとしても

燃えろ
燃え尽きてしまえ
すべての約束


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